忌火(いみび)とはどのようなものですか?

いろんな疑問

 「忌火」とは、潔斎(けっさい)をした神職により火鑚(ひきり)等の古来の道具によって新しく熾(おこ)された神聖な火の事で、この火を使って神前に供える物の煮炊きを行います。
 伊勢神宮外宮の御饌殿(みけでん)で毎朝毎夕に行われる日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)では前日より忌火屋殿にて「火鑚杵(ひきりきね)」と呼ばれるヤマビワの木の棒と「火鑚臼(ひきりうす)」と呼ばれるヒノキの板の穴をこすり合わせ火を熾し神饌が調理されます。
 また出雲大社の十一月二十三日に行われる古傳新嘗祭(こでんしんじょうさい)においては、古式のままに熾された神火、神水により炊かれたご飯、醴酒(ひとよざけ)を天地四方の神々に供し、宮司自らも食して相嘗(あいなめ)の儀を行います。
 東京都檜原(ひのはら)村の春日神社で毎年三月一日から二日に行われる「御(お)とう神事(東京都無形民俗文化財指定)」では一定期間精進潔斎をした氏子当番が深夜秋川(あきかわ)で、白褌(ふんどし)、白足袋にて禊(みそぎ)をし川岸の井戸から水を汲み、火打石によって新しく火を熾し、米が炊かれ調理を行い、翌朝神前に供え祭典が執り行われます。