『続日本紀(しょくにほんき)』の宣命に記され、のちに本居宣長(もとおりのりなが)が「今をいふ也(中略)盛(さか)りなる真ん中の世とほめたる心ばへ有て」と解釈をした「中今」という言葉があります。その後、国民の住みよき世を目指し、日本の近代化を進めた明治の御代を経て「中今」は「現在とは過去と未来を結ぶ中心点」を表す言葉として、そして天地が窮まり無く永続であるという日本古来の時間観と重なり、「今を生きる心得」として捉えられ用いられるようになりました。その「中今」の心得とは、「今」とは過去と未来をつなぐ中心にあり、悠久なる歴史と自分自身との出会いの場である一刻一刻の「今」を力一杯生きて、生活をできうるかぎり価値あるものとし、未来を支えるための一端を担うことにあります。
地球環境の大きな変化に直面する私たちの「今」に照らし合わせますと、一人一人が与えられた「今」を最大限に活かし、自然を豊かなまま持続できるよう努め、「今」と変わらぬ実りを未来に渡す繋ぎ手として、「中今」を過ごすことが求められています。