「三方」は神饌(しんんせん)を載せるための台で、折敷(おしき)と穴があいた台(胴)とで成り立っています。三方という名称については、穴が三方向に開いていることからつけられたとする説があり、これは通説にもなっています。ちなみに、台(胴)にあいた穴は「刳形(くりがた)」あるいは「眼象(げんしょう)」と呼ばれ、宝珠(ほうじゅ)の形に彫られていますが、穴そのものには意味がなく、一種の装飾と考えてよいでしょう。
かつては、四方に穴の開いた「四方(しほう)」や、穴が一つも開いていない「供饗(くぎょう)」というものもありました。しかし、今日では通常三方が用いられています。
三方には大小さまざまの種類がありますが、一般的に神棚では一台か三台使います。神棚が大きい場合や多くの神饌をお供えする場合には、五台にすることもあります。 神棚が小さい場合には、折敷を使っても差し支(つか)えありませんし、祭器具(さいきぐ)をそのままお供えしてもかまいません。ただし三方やお敷きを使う場合は、縁(へり)の継目(つぎめ)(綴じ目(とじめ))を手前に向けて置きます。