祭典時に、神さまへ奏上する言葉が「祝詞」です。祝詞は、万葉仮名で書かれていて、内容としては、まず神名と神徳をたたえてから、お祭りの趣意を申し上げ、そしてご加護をいただけるように祈るのが一般的です。
祝詞の語源については、諸説ありますが、一説によると「宣(の)り処言(とごと)」を省略した語といわれ、神さまの御言葉を宣り下す処(ところ)という意味があるとされています。つまり、もともとは神さまが、神聖な場所から私たちにいい聞かせる御言葉だったようです。これがのちには反対に、私たちが神さまに奏上する言葉へと変わりました。古来、わが国の祖先たちは、言葉には霊魂が宿ると考える、言霊(ことだま)信仰を持っていました。ですから、神さまに申し上げる言葉は、必ず神さまへ通じると確信していたことでしょう。
祝詞の文体には、祝詞の末文が「…白す(もうす)」で終わる奏上体(そうじょうたい)と、「…と宣(の)る」で終わる宣命体(せんみょうたい)の二種類ありますが、現在では多くが前者の奏上体で書かれています。