節分は秋にもあるといいますが本当ですか

人生儀礼と年中行事

 「節分」とは立春の前日をさします。そもそも節分という語は、立春だけに限らず立夏・立冬・立秋の前日をさし、四季の節目を意味していた言葉でした。つまり、節分は一年に四回あったわけですが、旧暦では立春が年の始まりにあたったことから、この節目が特に重要視されて、いつしか節分といえば、立春の前日をさすようになったのです。
 節分には、災厄や邪気を払う行事が行われますが、その代表的なものに「豆まき」があります。年男が「福は内、鬼は外」と唱えながら、煎(い)った大豆をまいて鬼を払うこの行事は、中国の明(みん)の時代の習慣を、室町時代に取り入れたといわれています。かつては、豆まきを「追儺(ついな)」「鬼遣(おにや)らい」といい、宮中の年中行事の一つでした。舎人(とねり)が扮した疫鬼を迫い払うことにより、災厄を払い除くというこの儀式が、次第に民間に伝わっていったのです。